【100日100話】096 20時のテレビから受けた衝撃

   

けん玉なんて、大したことないと思ってたのだ。

ただちょっと鶴亀が得意で、世界一周が決められれば、尊敬を集めるだけの玩具。

ほとんどの人間と同じ認識を、少年も持っていた。

だから「世界大会」を告げる地元ニュースに、彼は耳を疑い、ついで目を疑うことになった。

ヨーヨーのごとく、糸の先で剣と玉が踊る。

風切り音の聞こえそうな回転から、瞬時に手にした剣に玉が、握る玉に剣が止まる。

それもタメなんていっさいない。足で拍子を取ることもない。

会場のダンスミュージックも相まって、ブレイクダンスにも似た素早さだ。

「……何だ、あれ」

ニュースが切り替わった後も、少年は呆然としていた。

けん玉の凄さばかりにではない。

そこに混ざる小柄な姿は、少年のクラスメイトだった。彼のけん玉技術をほめる1人だった。

(あいつにできるなら、俺だって)

瞬間、ふつふつと少年の胸に熱がともっていく。

それを情熱というのだと、彼はまだ知らなかった。

「24時間の過ごし方」より
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