【100日100話】090 14時、睡魔との闘い

   

戸を雑に開けられるいつもの音に、部屋の主である青年は薬研から手を離す。
「完 全 敗 北 デス☆」
「……お前そういうこと言うなよ検体、やる気削がれるだろが」
ぐっと立てられた指をたたき落とし、青年は後輩に首尾をたずねた。
薬草学の卒業試験として、彼は睡眠薬の精製向上を選んだ。しかしなぜだか彼が作ると、むしろ眠れない効果の方が上がってしまうのである。
「いやあ、今回も見事なまでに寝なかったですよ! いっそ睡魔撃退薬として売り出したらどうです?」
「阿呆。人が寝ないとか不自然にも程があるだろが」
眠れぬ夜は狂気や魔物を呼び寄せる。それを防ぐためにこそ彼は睡眠薬を選んだのだ。
「ほら、次はこれだ。ネズミで安全性は確かめてある」
「まったく……先輩こそ寝てくださいよね」
憎まれ口をたたかれるまでもなく1日3時間は寝ているのだが、面倒だったので青年はそのことを言わなかった。

 
「24時間の過ごし方」より
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