【100日100話】061 こどもはかわいくなんかない

   

こどもはかわいくなんかない

下着は痒い。カイロは痛い。
だから雌鶏になるしかない。

「コートonコートとかだっさ!」
「あんな重いのよく着れるよねー」

うるせえネックウォーマーぶつけんぞガキ共。こっちも同じ歳だけどな!

ああやだやだ、小学校嫌い。わけわかんない基準でバカにする奴らも、前世紀の遺物みたいなストーブしか使えない教室も、オーバーやコートは全部脱がせようとする担任も。
ていうかあいつ目が怪しいし。露骨に胸と尻見てくんだよね好きでブラ持ってるわけじゃねーよ。女担任まるで安心できない。

――いや、そもそも学校に安心な場所なんて存在しないのか。
37度を超えても寝かせてくれない保健室。図書の時間にしか鍵が開かない図書室。開けっぴろげな校舎はしぬほど暑くて寒い上に、どこにでも校長が歩いていて捕獲される。あいつヤニ臭いから嫌い。

あーあ、昔は良かったなあ。胸はないし、寒かったらコート着られたし、何よりひとりでほっとかれた。園長室の本だって読み放題だった。
あと2年3か月もこんな学校にいなきゃならないなんて、きっと親たちは気づいていない。大人って外面いいから、バザーや参観日なんかじゃわかるわけない。

――逆うには、戦う覚悟が必要だ。親と、教師と、地域と、社会を論破して言いくるめなきゃならない。
そんなの、自殺の方がずっとずっと楽で、死に方汚いからしないだけ。

3枚重ねのセーターの下でため息をつく。
胸が重い。
これのせいで余計に太って見えるのに、どうしてつぶしてくれるブラってのは存在しないんだろう。

*

今日のお題は「着ぶくれ」です。はやりの現代ホラーってやつです(なにか違う)
個人的に、9才から19才までは、弱者の試練の日々だと思っております。
人の悩みはつきないけれど、あの頃よりはマシなこともある。