【100日100話】016 拘りは常になぐりあう

   

 まさか、こんな些細なことで仲間割れが起こるなんて思ってもみなかった。

「ひぐらしの音は8月30日だ! 夏の終わりに焦りと緊張、そこに追い打ちを!」

「この地方じゃそれは遅すぎだ、8月20日、休みの始まって1ヶ月たってしまった、その節目こそちょうどいい!」

「あのー、いま調べたらお盆前に鳴くこともあるって」

「「修羅場で引きこもってんのに聞こえる訳ないだろ!」」

 先輩方の剣幕に、びびった後輩ちゃんをなでてやる。先輩って言うか、私の同期なんだけど。ついでに全員女子なんだけど。

「乙女ゲームって、こんな過酷な環境で作られてたんですね……」

「まあ、シナリオと立ち絵と、せいぜいBGMくらいでできると思っちゃったよね」

 平行線を辿る議論の上にひぐらしのSEがループする中、私たちの夏休みはまた一日分確実に消費されていったのだった。

今日のお題は「ひぐらし」です。

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