NovelJam3日目の1~出版にトラブルはつきものです?~

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NovelJam3日目

 相変わらず体はがちがちで、記憶が飛んで朝だった。

 6時前を指しているので、起き出して支度すると同時に、最後の荷物を詰めていく。

 準備ができた頃には、7時前だった。

 この時私は、ふたつのミスを犯した。

 ひとつは、朝食が7時からだと思ったこと(正解は7時半)。

 もうひとつは、最終稿の提出期限を9時半だと思ったこと(正解は8時)。

 結果どうなったか。

嶋「表紙これでどうですか?」

私「帯に4人って入れてるので、シルエットも2人より4人の方がいいかと……」

嶋「(画像)」

私「そっちでお願いします」

 食堂でトーストをかじりながら、FBのメッセージで最後の打ち合わせをすることになってしまった。

 多分今頃、澁野さんは必死こいて最後の原稿チェックをしているに違いない。

澁「高橋さん、出力がおかしくなるので至急来てください」

 って高橋さんもいないんかい!

 つっこんでいたら、ちょうど高橋さんが朝食を持って私の前に来たので、急ぎメッセージのことを教える。

 最終的に電話をしながら朝食をおいて飛び出していった。

 私がNovelJamに後悔があるとすれば、最終稿提出に立ち会えなかったことである。自業自得だが。

 だって一緒に食堂開くの待ってた根木珠さん(@_negi_tama)が、最終稿提出済みって知らんかってんもん……朝食後で間に合うと思ったんや……

 逆に高橋さんは、「提出後でも朝食間にあったんだねえ」とぼやいていた。

澁「最終稿提出しました、お疲れさまでした!」

 先に朝食をとったことを謝りに行った後で、澁野さんからメッセージで最終報告がなされる。

 この時、嶋田さんの睡眠時間は3時間、澁野さんの睡眠時間は30分であった(自己申告)。

 ……ほんとすみません。

 かくいう私もこの3日、あまりよい睡眠がとれているわけではない。

 原稿をひとまず書き終えた虚脱感も相まって、この辺りから障害特性である不注意が頻発することになる。

 荷物を抱えて会場に行き着くと――後で使い捨て歯ブラシを捨て忘れたことに気づいた――中の雰囲気がそわそわしていた。おそらく審査が始まったためであろう。

 また、最終稿は出されたが、編集者は午後からのプレゼンのために休む暇もない。このプレゼンも審査に影響するため、プレッシャーは相当のはずだ。本当にありがとうございます。

 ――プレゼン、14時からだよね? そして審査発表16時だね?

 ……審査員も大変だな、これは。

嶋「飴乃先生、女神たちのシルエットは誰がどれとか指定あります?」

私「えっと、右から順に明治・大正・昭和・平成です」

嶋「あ、わかる。それっぽいわナイス私」

 プレゼン用資料を作っていた嶋田さんが、表紙のシルエット画像を抜き出して元号をふっていく。

 表紙では帯で下半身が隠れているが、全身で見ても実に雰囲気が出ているので、ぜひうちのTwitterのヘッダーなどで確かめてほしい。

ちはれ(@chihare)さん | Twitter
ちはれ (@chihare)さんの最新ツイート @ameno1080 の日常アカです。ここではただの成人済オタク。 うちの子KAITOのサムネは、るこさん(@rukoruko4)に戴きました。エログロ虫が苦手ですが、興味深ければ何にでも首を突っ込んでいくのでスルースキルを大推奨。フォロー返しは気まぐれ。2009年開始 ...

 ところで「エヴァのフォントって何?」と澁野さんが言い出したんだが、いったいどんなプレゼンをする気なのか。

 ニコ生で流すのでなければ、音楽も使いたかったらしい。本当に何をする気なんだ。

 不意に、声を拾った。

 Gチームの渋澤怜さん(@RayShibusawa‏)が、原稿のようなものを読み上げている。

 ――著者がプレゼンやるのか? 新しいな、去年を知らないけど。ああ、今も絶賛ギター演奏中の澤俊之さん(@Goriath_Publish)が、著者としてBGMやってたことはあるか。

ス「すみません、飴乃さんは顔出しNGですよね」

私「? はい」

ス「プレゼンで前に出たりすることはありますか?」

私「えっ、編集さんに任せますけど……?」

 著者8人集めた澁野さんのプレゼン能力をなめるなよ。

 しかし1チームが著者出すだけで、全チームに確認とるんだなあ。

 ――などと、この時は呑気に考えていた。

 ギター演奏が続く中、作品リストが配られる。

 一目見た瞬間、うちのタイトルの地味さに舌打ちしそうになった。

 いや、悪くはないんだよ。でも「バカとバカンス」だの「平成最後の逃避行」だのといった、周りと並べるとなんか地味だ。タイトルセンスはどこで買えますか。

 とはいえ、16作品全てが完成したことは素直に喜ばしい。実質1日しかない中で、皆がほぼ白紙から書き上げた結果である。

 前回はインフルエンザなどで脱落者が複数出ているので、余計に喜ばしいことに思われた。体調大事だよね!

 そんなこんなと時は過ぎて11時、BCCKSによる電子書籍ワークショップが行われる。

 NovelJamのNovelJamたるゆえんのひとつは、書いた作品の出版まで時間内に行うことだ。3日前には影も形もなかった小説たちが、16作品同時に出版、発売開始となる。

 その手順を教わるためのワークショップである。

 壇上で機能の説明をするBCCKS代表の山本祐子さん(@jamyama)は、きさくかつ親切な方で、1日目に私が個人部屋に移る際、「夜道をひとりでは危ないから」とスタッフとともについてきてくださったり、その間に裏話をいろいろ教えてくださったりした。

 別に私の名前を覚えててくださったから言う訳じゃないぞ。

 さて、肝心のワークショップなのだが、思っていた以上に”聞こえない”。音は拾うのだが、片端から忘れていってしまう。

 これはどうにもならないな、と私は勝手に自分のウェブサイトの投稿画面を開いて、下書きを始めた。出版したらすぐに更新できるようにである。

 BCCKSは以前、掌編集『不可思議を少々』を出したときにさわったことがある。

 まったくの初対面よりはどうにかなるだろうし、大半のことは澁野さんが主流でやるだろう――と、思っていたのだ、この時は。

 まさか自分で書誌情報から本文まで入れることになるとは思ってなかったよ!

 そしてこのことが後の飴乃ちはれ連続ポカミス事件につながるんだYO!

(念のため、澁野さんが何もしなかったわけではないのは言い添えておく)

 今回、本としての器は先にBCCKS側が用意してくれていた。

 チームはそれぞれ、テンプレートの中に情報を入れていけば、本が完成する。

 ここで私は、本文行頭一字下げのためのある秘策を用意していた。

 小説投稿サイト「小説家になろう」の投稿画面には、一括字下げ機能が存在する。本文をここに入れて一括機能のボタンを押せば、あっという間に全文の字下げが完了するというわけだ。

 ただし、括弧が行頭に入っていると下がらない仕様である。ルビを入れるために括弧を多用していた私は、最終的には手作業でひとつひとつ下げるはめになった。ルビを入れる前にやるのが一番かもしれない。

 ネット接続が切れたり、更新したはずの箇所が戻ったり、キャッシュが残ってなかなか更新されなかったり、等々問題は頻発したが、高橋さんやスタッフのサポートもあり、どうにか形はできあがった。

 発刊は13時なので、先にお昼を食べにいく。

澁「3日間いい天気で良かったですねえ」

嶋「初日に小雨が降っただけでしたね」

 実は、山の中ともいえる位置にある会場周辺では、溶け残った雪がいくつも散見されている。

事前の準備物リストに懐中電灯が例示されていたこともあり、また雪でも降れば遭難者が出るのではないか、下界に下りられなくなるのでは、などとまことしやかにささやかれていたのである。

 しかしこの3日間天気は良く、昼時など暖かいほどであった。

 参加者の中に、徳を積んだ方がいらっしゃるんでしょうねえ、と言ったら笑われた。解せぬ。

 昼食をとって、13時。

 スタッフの要望により、山本さんがカウントダウンを始める。

山「3、2、1、発行!」

 この瞬間、総勢16作品の出版処理が開始された。思わず起こった拍手は、感慨の現れだっただろう。

 だが、私の本はここからが本番だったのである。

私「あれ、なんか文字数が……タイトル間違ってる!」

嶋「直して直して!」

私「サイトに入れたタイトルも違うー! Twitterに投げちゃったよとりあえず修正!」

ス「飴乃さん、本文情報の項目が入ってないようなんですが」

私「えっ、澁野さんに入れてもらっ……更新されてないだと……?!」

澁「編集しますね」

私(あ、やっべ本文ここ間違えた……澁野チェック抜けてるし違和感ないならスルーでいいかな)

ス「飴乃さん、本文情報が――」

私「そこはもう直しました!」

 もろもろもろもろ。不注意大爆発である。

 ちなみにブログのタイトルは修正したが、ツィッターカードの方は修正を忘れていて、広島に帰って修正するまで違うタイトルだったのは秘密である。

 更新のおかげか、新着のトップに入っていたのは怪我の巧妙かもしれない。

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次回、16作品のプレゼン大会が行われ、いよいよ審査結果が発表となる。お楽しみに。

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時代を司り、歴史を紡いできた女神たち。

ところが、次の時代の幕開けを告げる新しい女神の現出を、素直に喜べない事情があって…!?

元号を大胆に擬人化して描く、エスプリたっぷりの現代の寓話。 

NovelJam2018にて実質1日で書き上げた物語です。

たそかれ時の女神たち』 飴乃ちはれ(著) 澁野義一(編) 嶋田佳奈子(デザイン)著

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