NovelJam3日目の3~大団円はもう少し先~

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続々・NovelJam3日目

 全体の講評が始まる。

 審査は各自が3作品を選び、それぞれに3点、2点、1点をつけるところからだったそうだ。

 それぞれの審査員が独断で選ぶ名前入り賞とは違い、優秀賞と最優秀賞はポイントの合算でおこなうのだが、2作品が同点になってしまった。

 これで賛否両論ならば審査員の熱意の差になるのだが、作品の弱点に全員が納得してしまったため、余計に荒れ模様になったらしい。

 結局、落としどころとして、優秀賞が2つで最優秀賞がなし、という結果になったそうだ。

 説明を終え、惜しくも受賞できなかった作品の講評に移っていく。

 そこで感じたのは、私も含めて作る側が先行作品を知るきっかけが少ない、ということだ。

 1年間の文字情報を全て読むのに、100年だか1000年だかかかると言われる現代、作る側も今の情報を追うことさえなかなか難しい。

 読めば書く時間はなくなるし、書けば読む時間はなくなる。人間として活動時間が限られている以上、そのバランスもまた模索していく必要がある。

 その上で、やはり過去の遺産につながる機会は、どこかが作っていかなければならないと思う。

「受賞しなかった作品も決してレベルが低いわけではありません」

「我々は村上春樹などと比べてどうか、というレベルで審査している」

「あなた方は(文芸における)世界大会の二次予選に出られるくらいの位置にいます」

 審査員たちが熱く語る。

 NovelJam運営ができるだけ広い範囲の、分野における最高峰をつれてきた、と語るだけはある、濃厚な講評だった。

 ニコ生のタイムシフトでしか見られないのがつくづく残念であるが、全ての講評動画をそのまま出すと私の涙声まで出てしまうので、#いささか複雑な心境でございます……(ネタ元:執事の館

 編集して載せてくれないかな運営さん。手が足りないかな。

 講評が終わり、ようやくべそべそが落ち着いてきたところで、NovelJamの閉会が宣言される。

 この後はいよいよ懇親会だ。荷物が寄せられ、机が並び替えられ、豪勢な食事が……え、量多すぎじゃね、みんな食べきれる……?

 心配になりつつ、賞状を入れる筒を配られたところでふと気づく。

私「あの、賞状誰が持って帰ります?」

澁・嶋「「飴乃先生が持って帰らないでどうするんですか!!!」」

 いや3分割かなあとか思って……言えなかったけど……

 結局澁野さんと嶋田さんは賞状の写真を撮っていった。

 私は賞状を丸め、鞄に入れられる隙間がなかったのでコートのポケットにつっこんだ。落ちないでくださいね。

 懇親会では有田さんを初めとして、審査員の方々を主に回って評価を聞かせていただいた。

 まずは有田さん。

私「推していただいてありがとうございました!」

有「第一印象から決めてました!」

私(まじかよまだ泣かす気か)

有「擬人化ってありそうでなかったんでー、どうやって思いついたんです?」

私「えっと、平成から思いついた単語を組み合わせていったら『元号女子』ってできて……」

嶋「違うでしょ貧乳からでしょ」

 ば ら さ れ た 

 そうだったんですねー、で流してくれた有田さんは女神だと思う。

有「女神たちそれぞれの時代に合わせた、年代記でもおもしろそうって思って」

私「ありがとうございます」

有「エブリスタでも裏NovelJamがありますし、他に短編の賞もやっているので、よかったら参加してみてくださいね」

私「登録します!」

 さて、この先は審査員を見つけた端から話しかけていく。

 顔をなかなか覚えられないので、人が群がっているところに当たりをつけて向かったのは秘密である。

 なおこの先はどの審査員の言葉かは伏せさせてもらう。忘れたからじゃないぞ。

「3作に絞る前の候補には『たそかれ』もあったよー」

「ありがとうございます!」

「でも初稿で読みたかったなー」

「う、はい」

「どうして初稿でいかなかったの? ……ふーん、一人称にすればいけたかもしれないね。動物の一人称とか、イメージ化のハードルが下がるでしょ」

「……あ!(そういえばそうじゃん!)」

「猫とか、漬け物石とか、どんな一人称から書くのがやりやすいかってのも、やってみるとおもしろいよ」

「あ、女神たちの作者さんね。おもしろかったですよー」

「ありがとうございます!」

「アイディアが新しいなって。初稿でも読んでみたかったけど」

「……はい」

「初稿で」

「さーっせんした!」

 そんなことをしている間に、スタッフに呼ばれた。

ス「Amazonに新刊登録する際に、名前とタイトルを英語で入れないといけないんですけど、何て入れておきます?」

私「え、英語」

 さっそく澁野さんに泣きついたのは言うまでもない。

 一緒にいた高橋さんには「”Evening of god”でしょー」と言われたのだが、英語に堪能なスタッフさんにも相談して、”Twilight of goddess”となった。ギリシャの神などをgoddessと言うらしい。

 余談だが、スタッフさんの発音が流暢すぎて、一瞬ゴジラと言われたのかと思った。耳が悪い。

私「審査員全員にプロットので読みたかったと言われました」

澁「時間があればねー。この短時間だと得意技使うしかないでしょう」

私「私も途中で詰んだと思います」

 様々な演奏が響く中、ねー、と慰め合って酒を飲む。

澁「しかし手ぶらで返すことにならずに良かったですよ」

私(それ嶋田さんも言ってたなあ)

澁「せっかく広島から出てきたのに、何もとらせずにおくものかと思ってましたからね」

 私、その辺何にも考えずに書いてただけだったなあ。

 やっぱり賞状3分割した方が良かったんじゃないかしら。

 懇親会では他の著者や編集者、デザイナー、スタッフとも会話を交わし、お祝いをしあった。

 そこで複数の人に「(受賞挨拶で)もらい泣きしました」と言われたのだが……

 あの時内心(ちょwww声上ずるwww涙声マイクに響きすぎwwwww)と思っていたとはさすがに言えなかった。書くけど。

 バスの時間もあったので、解散の挨拶の後すぐに荷物をまとめた。

 最後に理事長の鷹野さん達とご挨拶して、ついでに扉を開けてお見送りしてもらう。

 ……どうして参加できたのか、結局聞き忘れたなあ。

 ところで、セミナーハウスは山の中だ。明かりは十分あるが、夜ともなると視界は悪い。

 そして私は、空間認識が人並み以下と結論された、先天性方向音痴である。

 地図を見ておきながら思い切り会場に戻る道を歩きかけ、そこで審査員の内藤先生と行きあって、一緒にタクシーで駅まで行くことになった。

 駅に着くまで、様々なことを話した。

 NovelJamの感想、先生の審査基準、デビューするまでの話……

 公募に毎回一次落ちする話をすると、おすすめの本も紹介してくれた。

内「あなたには実力があるんだから」

 また泣きそうになった。

 駅で先生と別れ、電車に乗って横浜へと移動する。

 その間はお祝いへの返信と、NovelJamで考えたことのツイートに当てた。

 一瞬でも気を抜くと泣いてしまいそうだったのだ、コートのポケットで賞状が揺れているから。

(なおもう片方のポケットでは、荷物に入りきらなかったポメラが揺れていた)

 椅子が4列の、安くて狭い夜行バスに乗り込み、チームメンバーへのお礼を送る。

 そして、Facebookに報告の長文を書いた。

 ちなみにやっぱり夜行バスでは寝られず、グロッキーなところに到着が遅れて、私は岡山駅を新幹線まで走り抜けることになった。朝食抜きで。

 広島に着いたときにはほっとして、一気に力が抜けていったものである。

 午前休をとっておいて正解だったな。

その後の話

 こうして私のNovelJamは半分終わり、販促と宣伝のターンへと移った。

 終了直後から「新作書きましょうね」と言っていたのに、この参戦記が伸びに伸びたせいで、まったく手を着けられていないうちに他チームが続編や改訂版を出し始めている。

 またランディングページや動画作成、フライヤー配布にツイートキャンペーンと、皆が施策にしのぎを削っているのが端から見てたいそう面白い。

 いや、私もその中の一人なのだが。

 幸い受賞の効果やレビューの影響もあってか、売り上げは思った以上にずっと良い。

 特に「Kindleなら買うね」という人々のおかげで、結構売れていると思う。

 内容の評判も上々で、

「切なくてあったかい」

「丁寧に言葉が選ばれている」

「動と静の切り替えが良い」

「ほっこりした」

「すばらしい読後感」

「次はどうなるんだろうとどんどん読み進めた」

 などなど、多分一番感想をいただいているのではなかろうか。受賞すごい。

嶋「この勢いでグランプリとりましょうね!」

私「がんばります」

嶋「でも高橋先生にもとってほしいんですよね……」

私「わかる」

 みんな『たそかれ時の女神たち』の次に『オートマティッククリミナル』を読んでくれ! 

 SFを小道具にした少年の成長物語だから! 

 ミステリな面もあって面白いから!

 あと、”彼女”の時代がオマクリの舞台と考えると、なかなかディストピアな気分になって楽しいよ!←

 そんなグランプリの結果発表は3/26(月)だ。

 土日じゃないので行けない私は、ニコ生で待機予定である。

 ちなみに売上が審査対象となる期間は3/12(月)くらいまでなので、それまでにお買い上げいただけると大変ありがたい。

 ストアはBCCKSが一番うれしいけど、どこでもいいよ!

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました。

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時代を司り、歴史を紡いできた女神たち。

ところが、次の時代の幕開けを告げる新しい女神の現出を、素直に喜べない事情があって…!?

元号を大胆に擬人化して描く、エスプリたっぷりの現代の寓話。 

NovelJam2018にてエブリスタ賞を受賞しました!

たそかれ時の女神たち』 飴乃ちはれ(著) 澁野義一(編) 嶋田佳奈子(デザイン)著

Kindle版はこちら。

他主要ストアでも購入できます。

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