【100日100話】032 来るならおはぎを持ってこいってさ

   

今日のお題は「はぎ」です。
ちょっと痛いお話。

来るならおはぎを持ってこいってさ

「はんごろしにする? みなごろしにする?」
おっとりとした風情の小面が、麺棒を片手ににこりと笑う。
ちょいと物のわかった奴なら、「ああ、米のつき方か」と合点するだろう。小面の面を付けた女が浅黄の割烹着をまとい、膝下にその裾をひらつかせているなら尚更だ。

「いつも通りにしてくれ」
「また半殺し? つまんなーい」
「いつも通り、だ」

はーい、と間延びした返答はそのまま乱闘の気勢に変わる。
一打、二打、続けざま蹴りで三、四。ニンポー? 違ェよただの体術だ。
小面は既に鬼女へ変わり、体力だけのちんぴらを麺棒ひとつでノしていく。
――ま、そもそもこんな場末の地下駐車場で、麺棒携えてる時点でお察しってな。ちなみに割烹着は血避けだとさ。白じゃなく浅黄なのは、色を目立たせないためらしい。

『ぐっ』
『か、』
『こっはぁッ……!』

どっかのアニメモブのごとく、成人人体が群れで舞う。今日も見事に追っ手の四肢関節を砕き、肋骨をいくつか窪ませて、小面は「できあがり」と笑った。

「じゃ行くぞ」
「はーい。今日のははんごろしにする? みなごろしにする?」
「粒餡ならなんでもいい」
「もうっ、相方さんの希望を察するのも君の役目だよ!」
「へーへー」

わかりやすく怒る小面に適当に返しながら、しおれた菊を後部座席にのせる。
今度の月命日も、喧しいことになりそうだった。

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はぎと言われたらおはぎしか出てきませんでした。
おはぎといえば半殺し皆殺しと、お墓かなーと。
今回ちょっとハードボイルドでグロ注意なのは、時代劇の漫画読んだせいもあるとかどうとか。あの独特の外連の世界は面白いですね。

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