【100日100話】027 なお調理には8時間かかる

   

今日のお題は「落花生」です。
片言しゃべりの『筐体』と、その主のいつもの朝の話(ほのぼの系)。

なお調理には8時間かかる

「煮豆」
「ピーナツで?」
「煮豆」
「そもそもピーナツって豆か?」
「にまめ……」
「いや他の単語言えよ」
「めええええええええええええ」
「鳴くのかよ!」
 
主がつっこむと、謎の鳴き声はぴたりと止んだ。目の前の筐体いわく、スコティッシュ・ブラックフェイス種のものらしい。
 
「お前どんだけ羊の鳴き声データ持ってんの」
「ざっと48」
「それ”ざっと”じゃねえ」
「用法修正。同期」
なめらかな電子音は聞き慣れれば人間と大差ない。
「煮豆」
「うん、煮ピーナツな」
「煮ナンキン豆」
「……あー、ピーナツって一応マメ科なのか」
「煮豆」
「うん、あってた」
「褒めれらろ」
「えらいえらい」
主は筐体をなでてやり、湯気の揺れるピーナツに指を伸ばす。
「箸」
「けちけちすんなよ、俺だけだし」
「いる」
「俺とお前だけだし」
「箸」
「あつっ、ーーん、塩煮か」
「箸……」
「今度な」
もうひと粒つまんで、小鍋のふたを元に戻す。
「あら熱がとれたら冷蔵庫に入れておいてくれ。つまみに食う」
「了承」
「んじゃ、行ってくる」
「tr」
「略しすぎだろ」
ひらひらと互いに振り合って、主と筐体の一日が始まる。

スポンサーリンク