【100日100話】065 3日おきに潰れる食堂の話

   

 その食堂は3日おきに潰れるのだと常連の間で有名だった。
 味はすこぶる美味いのだ。ひらひらと味わい尽くす者も、せっせと持ち帰る者もいる。近所に住まう女王様だってお気に召す。
 ただ、店のある場所が悪かった。
 客が集まらないというのではない、むしろ客通りは多い場所だ。しかし客が多いだけでは、良い環境とは言えなかった。
 その土地では、3日おきに店が忽然と消されるのだ。嵐があったわけでなく、地鳴りが起こったわけでもない。晴れ渡った日々の中でさえ、店は突然全てを失うのである。
 それでも店は柱をのばし補強して、何度でも料理を作り上げる。そうして少しでも利益を得ようとがんばるのだ。実入りがあれば、店は何度でも、何代でも続けていけるから。
 こうして、時に文字通り根こそぎの目に遭いながらも、店は営業を続けている。そして常連客達は世代を変えながら、3日おきに隣のハタケと呼ばれる場所で店探しをくり返すのだった。

「なっ、まーたこのひっつき虫繁ってやがる!」
「とっとと刈ろうぜ、日が経つと茎が鎌を弾いちまう」
「まったく、畑に半ヘクタールも広がられちゃ、こっちの商売があがったりなんだよなあ」

——————————

今日のお題は「せんだん草」です。
せんだん草がひっつき虫のことだって今回初めて知りました←
沖縄では「サシ草」と呼んで、はちみつの原料になることが多いようです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク

コメント

  1. […] 【100日100話】025 ひとりぼっちのきいろいピエタそのくにでは、ウサギのからだは白く、みみは紅いものでした。 からだがいかにかたく引きしまり、みみがいかにつややかで、ピンとさきまで鋭いか、それがウサギたちの美しさであり自慢なのでした。――これはそんなくにでうまれた、きいろいみみのウサギのおはなし。 【100日100話】024 刀になりたかったサンマの話サンマは刀になりたかった。 誰より白銀に輝くという、刀というものになりたかった。 サンマは魚である。刀になる術など知らぬ。 それでもサンマは刀に変ずる願望をあきらめることはなかった。 【100日100話】065 3日おきに潰れる食堂の話火事でも地震でもありません。常連がいないわけでも、味が悪いわけでもなく、ただ唐突に潰れているのです。3日おきに復活しては潰れる、その食堂の正体は? 【100日100話】004 だってみんなそう言ったじゃないですか人類の最大公約希望を求め、あらゆる過去の情報を集積し計算した人工知能。しかしその結論は、人類全ての自死だった――あなたのそのひと言、本当に大丈夫? […]