【100日100話】033 詰る狐の言う通り

   

今日のお題は「ぶどう狩り」です。

詰る狐の言う通り

ぷちっ。ぷちっ。
ゆらゆらと揺れる房の根本に手をのばし、できるだけ長く切り取っていく。
「私は『ぶどう狩りがしたい』って言ったんだけど」
「ぶどう狩りだろ?」
くさす従姉妹殿に軽く返す。
「頭に”海”がついてるじゃないの!」
「そりゃ、亜熱帯なんだからそうなるさ」
島には山もなければ駅もない。りんごがなくてもマンゴーがあるし、電車や新幹線がなくたって車と船と飛行機があれば十分だ。
ぶどう畑と海ぶどうの水槽も同じこと。むしろこっちのが日本じゃ貴重なんだぜ?
「ええいローカライズなんぞ滅べ! 来たれグローバルシティライフ!」
「3回生まれ変わっても無理だなそりゃ」
そんなことになったら、最初に死ぬのはこの国そのものだ。
国家とか経済的体力とかそういうことじゃない。
人間は結局地形と気候に縛られる。だから世界的に均一な価値思考なんて、本来無理なことなのだ。
「大方、またどこぞの限定グッズが首都だけ販売だったんだろ」
「……関東と関西限定」
「――よし、存分に摘め。収穫がよければ色が付く」
「本当?!」
途端に張り切る従姉妹は単純だ。親族一と言えるほど航空会社に貢いでいるし、関西くらいなら乗り込むつもりでいるのかもしれない。
いまや僻地と言われるような場所でさえ、ネットさえつながれば情報だけはいくらでも得られる。学びたければ一流の講座も講義もある。英語が読めて聞けるなら、その範囲は膨大だ。
それでも、体験には勝てないと先生は言うけれど。
「葡萄なんて――」
望んだところで、酸いだけだ。
「ん、何?」
「なんでもない」

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うーん、ずっこけた感……。
最初は普通にぶどう狩りしようと思ってたんですが、グーグル先生が関連用語に「海ぶどう狩り」を示して来ちゃって。いろいろ考えてるうちにこうなりました。
最初は「体温高すぎて氷山地帯じゃないと生きていけないのに南国かぶれな火竜」が海ぶどう育ててる話とかも考えちゃいたんですけども、システム以前に摘む人が浮かばなくてこんなことに。
どうでもいいけど、テンション高いツッコミ系女の子のパターン、私ひとつしかない気がします。要修行ですな。

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