【100日100話】077 夜1時の恐怖体験

   

 大変タフな状況だ。某24時間な主人公でも解決できるかわからない。
 いや、あの身体能力なら難なくこなしてしまうのかもしれないけど、こちとら素人の女である。カンフーの達人なアジア系女幹部とは違うのだ。アジア人が皆2メートル以上跳べると思うなよ。

 ――オーケイ、混乱してるのはわかってる。順番に行こう。

 まず私は定時直後にエラー発生を知った。ノー残業デーも返上されるような致命的エラーってやつな。幸いでかいところは片づいているけれど、終電も消えて日付も変わって、細かなチェックはまだまだある。

 しかし腹が減ってはデバッグはできず、お湯入れ3分の夜食を持って早く持ち場に戻らないとならない、んだけども。

 夜食の前には奴が居る。

 億単位の昔からあの姿で生き残っている昆虫、通称G様だ。

 古いビルなので隙間は多い。当然のように虫も多い。おかげでどんな若い子も性別問わず、虫には逞しくなっていく。
 それでもG様は別だ。別格だ。黒光りの王だマジこっち来んな。

 しかしG様は縦横無尽、あっさり夜食の中身に着地されることだってなくもない。それを思えば、蓋に落ちたくらいなら食べられる。
 問題は、その葢を開くには、G様の前に手を出さなくてはならないことだ。

 G様は実は気配に敏感である。触覚が長いだけはある。刺激しないわけがない。
 これで手や腕やに移られたらどうする、顔に直撃狙われてみろ絶叫しか出ないぞ?!
 どうする!

 瞬間、私の頭はどんなデバッグ中よりもフル回転し、あるツイートを思い出す。
 Gは脅かされるのか苦手だ。大声を立てたりすると、その場を恐れて逃げ出す上、一族郎党に知らせるのだという。これだ!

 ――その日、私は給湯室で踊り狂う女(with奇声)として有名になった。

「もーマジ怖かった何かと思った」
「うわあ、ヤなところになっちゃったな」
「おーい引っ越しするぞー」

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「24時間の過ごし方」より
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